財産分与の書き方:対象・基準日・特定・方法を決めて、後日の扱いまで書く

財産分与の条項は、「共有財産を折半」では動きません。何を、いつの時点の数字で、いくらで、どう渡すか。財産目録による特定、包括条項の問題、金銭清算と現物分与、5年の請求期間と後から見つかった財産の扱いまでを整理します。

トップページ › 財産分与の書き方:対象・基準日・特定・方法を決めて、後日の扱いまで書く
「全財産を渡す」と書くと、範囲、将来取得する財産、債務、履行の方法がすべて不明確になります。目録で対象を特定し、基準日と方法を書くことが出発点です。

このページの要点

  • 財産分与の対象は婚姻中に取得・維持した財産(民法768条3項)。特有財産(同762条1項)は別。対象は別紙の目録で特定する。
  • 基準日は条文に定めがないので、協議で決める。財産の種類ごとに分ける場合は理由も書く。
  • 分与の請求期間は離婚から5年(同768条2項ただし書)。施行日前に離婚した場合は附則の経過措置を確認する。
  • 公正証書の執行認諾文言の対象にできるのは、清算金のような金銭の一定の額の支払。車や不動産の名義の移転そのものは対象外。

結論:財産分与は「何を、いつの時点で、いくらで、どう渡すか」を特定して書く

財産分与とは、離婚をするときに、夫婦が婚姻中に築いた財産を分ける取り決めです。民法768条1項は、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる、と定めています。協議書の財産分与の条項は、この請求権を、当事者の合意で具体的な形にする作業です。

財産分与の条項でよくある失敗は、「共有財産を折半する」「財産は妻(又は夫)が取得する」といった大づかみの書き方で終わることです。大づかみな書き方は、書いた時点では合意ができたように見えますが、次のような場面で動けなくなります。

  • 「共有財産」の範囲が決まっておらず、どの口座や保険が含まれるのか、双方の理解が食い違う。
  • いつの時点の残高・評価額を基準にするのかが書かれておらず、離婚までに増減した分が争いになる。
  • 分与の方法(金銭で清算するのか、現物を渡すのか)と、支払期日が書かれていない。
  • 「全財産を渡す」と書いたが、将来取得する財産や、他人名義の財産、債務まで含むのか分からない。
  • 協議のあとに、開示されていなかった財産が見つかったとき、どう扱うかの定めがない。

このページでは、財産分与の条項を、対象財産と基準日、財産の特定の仕方、「全財産を渡す」型の条項の問題、分与の方法と履行の確保、請求できる期間と後から財産が判明したときの扱い、の順に整理します。住宅や住宅ローンを伴う不動産の取り決めは住宅・住宅ローンのページ、年金は年金分割のページ、慰謝料や清算条項は慰謝料・清算条項のページに分けて書いています。協議書全体の項目の並べ方は協議書の書き方の全体像で確認できます。

なお、このページは書面の書き方に絞った解説であり、財産の評価額の算定や、分与に伴う各種の手続の代行を扱うものではありません。

財産分与の条文:768条の読み方と、2026年4月の改正点

財産分与に関わる主な条文

民法768条1項

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

民法768条2項

分与について協議が調わないとき、又は協議ができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求できる。ただし、離婚の時から5年を経過したときは、この限りでない。

民法768条3項

家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、婚姻中に取得し、又は維持した財産の額、その取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与の可否、額及び方法を定める。寄与の程度は、異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。

民法762条

夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)とする。夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、共有に属するものと推定する。

条文は e-Gov 法令検索で、現行の規定を確認しています。

768条3項の条文は、財産分与で考慮される事項を列挙しています。協議書を作る場面では、家庭裁判所が使う枠組みを知っておくと、当事者間の合意が、後に争われたときにも筋の通ったものになりやすい、という利点があります。ただし、当事者間の協議では、条文の考慮事項に縛られず、合意で自由に定められる範囲が広い点も押さえておいてください。

2026年4月1日に施行された改正では、財産分与について大きく二つの変更があります。一つは、家庭裁判所に対する協議に代わる処分の請求期間が、離婚の時から「5年」とされたことです(同条2項ただし書。改正前は2年でした)。もう一つは、寄与の程度について、「異なることが明らかでないときは、相等しいものとする」という規定が明文で置かれたことです(同条3項後段)。これは、婚姻中の財産の取得・維持への各当事者の貢献が、特段の事情がなければ等しいものとして扱われるという考え方を、条文に書いたものです。

経過措置にも触れておきます。施行日より前に離婚した場合に、請求期間の制限が改正後の5年になるのか、改正前の扱いが残るのかは、改正法の附則と法務省の公表資料の原文で確認が必要です。このページでは、現行の条文の内容に絞って説明し、施行日前に離婚した場合の適用関係は断定しません。

もう一点、財産分与の請求期間は、家庭裁判所に「協議に代わる処分」を請求できる期間です。当事者間で協議して合意すること自体には、この5年の制限はかかりません。ただし、協議が調わないまま期間が過ぎると、家庭裁判所に判断を求める道が閉ざされるので、協議を長く放置することは避けたほうが無難です。

対象財産と基準日:何を、いつの時点で数えるかを決める

財産分与の協議書で最初に決めるのは、対象になる財産の範囲です。民法768条3項は、「婚姻中に取得し、又は維持した財産」を考慮するとしています。婚姻前から持っていた財産や、相続や贈与で得た財産は、民法762条1項にいう特有財産として、分与の対象から外れるのが一般的な整理です。もっとも、特有財産か共有財産かの区別は、通帳の名義だけでは決まらない場合があります。名義が夫婦のどちらかであっても、婚姻中の収入から積み立てたものは、実質的に夫婦で築いた財産と扱われることが多いと説明されます。

次に、基準日です。財産の残高や評価額は日々変わるため、「いつの時点の数字で分けるか」を決めておかないと、数字の食い違いが生じます。条文には基準日の定めがなく、協議では当事者が合意で決めます。実務では、別居した日、あるいは離婚の日を基準とする例が多く見られます。基準日は一つに決めるのが簡明ですが、財産の種類によって、評価の時点を分けることもあります(たとえば、預貯金は別居日の残高、不動産は協議時の評価額、など)。種類ごとに分けるなら、その理由とともに書いておきます。

財産の種類ごとの整理の仕方

財産の種類書き方の要点注意
預貯金金融機関名、支店名、預金の種類、口座名義、基準日の残高。口座番号の全桁を書くかは、書面に残る情報として慎重に。別紙や下4桁など、特定できる範囲にとどめる方法がある。
生命保険・学資保険保険会社、契約者、被保険者、基準日の解約返戻金の額。解約するのか、契約を続けて一方が引き継ぐのかを決める。引継ぎなら、保険料の負担や名義変更の手順も書く。
株式・投資信託等証券会社、銘柄、数量、基準日の評価額、分与の方法(売却して金銭で分ける/現物のまま移す)。価格が日々変動するため、基準日の評価額で清算するか、売却時の金額で分けるかを決める。
車・動産車種、登録番号、現在の使用者、評価額、誰が取得するか。車は名義の変更が必要になる場合があるため、変更の協力義務を書く。ローンが残っている場合は債務の扱いも併せて書く。
退職金・企業年金すでに支給を受けたか、将来受給する見込みかで書き方が異なる。将来の受給分を対象にするか、評価の方法をどうするかは、当事者の合意で決める。対象としない場合も、その旨を書く。
借入・ローン債権者、残高、誰が負担するか。当事者間で負担者を決めても、債権者に対して当然に効力が及ぶわけではない。詳しくは住宅・住宅ローンのページで扱う。

表の最終行にある借入などの債務は、プラスの財産とあわせて考える場面があります。婚姻生活のために生じた債務は、清算の対象として考慮される一方、一方が個人的な理由で負った債務は、別に扱われるのが一般的です。ただし、どの債務がどちらに当たるかは事情によって変わるので、協議書では、債務を一覧にして、負担者を明記する書き方にします。

財産の「特定の書き方」:番号を載せすぎず、足りなすぎず

協議書に書く財産は、他の財産と区別できる程度に特定する必要があります。特定が不十分だと、どの財産の話か食い違い、履行の段階で争いになります。逆に、口座番号や車の登録番号をすべて本文に書き込むと、協議書や公正証書が、個人情報を多く含む書面になります。公正証書の場合は、公証役場に原本が保管され、正本・謄本の交付を受けた人が内容を見ることになる点も、考慮しておく必要があります。

書き方の例(一般的な例) 財産の特定

預貯金の特定

よくある書き方夫名義の預貯金は夫が、妻名義の預貯金は妻が取得する。
整えた書き方別紙の財産目録に記載する各口座(金融機関名、支店名、預金の種類、口座名義、基準日残高)は、記載された名義人が取得する。

理由名義ごとの取得は一見簡明だが、残高に大きな差があるとき、清算の調整が必要になる。目録で特定して基準日の残高を明記すれば、清算の計算が一つに決まる。

共有財産の範囲

よくある書き方共有財産は、折半する。
整えた書き方別紙の財産目録に記載した財産を、婚姻中に形成した財産として、基準日の評価額に基づき、各2分の1の割合で分配する。目録に記載のない財産は、本条の対象としない。

理由「共有財産」は人によって範囲の理解が異なる。目録方式にして、目録外の扱いも書いておけば、範囲の食い違いが減る。

財産目録は、協議書の本文とは別の「別紙」として作るのが実務的です。本文には、目録に記載された財産の分与方法(誰が取得するか、清算金をいくら、いつ払うか)を書き、細かい特定の情報は別紙に集めます。別紙にも、協議書の一部であることが分かるよう、「別紙」と題し、協議書に添付する旨を本文に書きます。

確認の問い財産の特定で確認しておきたい問い

  1. すべての財産を、お互いに開示したか。

    財産の開示が不十分なまま合意すると、後に未開示の財産が見つかったときに争いになる。開示した財産の範囲を、書面に書いておくと整理しやすい。

  2. 名義が相手方でも、自分が実質的に築いた財産はないか。

    名義と実質が異なる場合がある。婚姻中の収入を原資とする財産かどうかを確認する。

  3. 基準日の残高を、客観的な資料(通帳、取引報告書など)で確認したか。

    記憶による数字は食い違いやすい。資料の日付と基準日を合わせる。

  4. 財産の一覧に書いた個人情報は、必要な範囲にとどまっているか。

    口座番号の全桁など、書面に残す必要が薄い情報は、別紙の扱いや記載範囲を考える。

「全財産を渡す」型の条項が抱える問題

感情が整理されていない状況や、関係を早く終わらせたい場面で、「自分の財産はすべて相手に渡す」「一切の財産を譲渡する」といった包括的な書き方が採られることがあります。一見、財産分与の問題を一度に解決する書き方に見えますが、次の理由で、あとで多くの疑問が生じます。

包括条項に生じる疑問

範囲の不明確

預貯金、保険、株式、車、貸付金、将来取得する財産のうち、どこまで含むのか分からない。

将来の財産

離婚後に取得する財産(給与、将来の相続など)まで含むと読めるのか、含まないのか。

債務の扱い

財産をすべて渡す一方で、債務は誰が負担するのかが決まらない。

対価の有無

一方的な贈与なのか、他の条件(慰謝料の清算など)と引き換えなのか分からない。

民法550条

履行の方法

いつ、どのように引き渡すのか、名義変更が必要な財産はどうするのかが書かれていない。

表の「対価の有無」にある民法550条は、書面によらない贈与は各当事者が解除できるが、履行の終わった部分は除く、と定めています。協議書という書面にしている以上、書面によらない贈与の解除はそのままは当てはまりませんが、財産分与の合意の趣旨(贈与なのか、清算なのか)が書かれていないと、内容の解釈をめぐって争いになりかねません。

書き方の例(一般的な例) 包括的な条項

全財産の譲渡

よくある書き方夫は、自己が有する全財産を妻に渡す。
整えた書き方夫は、別紙の財産目録に記載した財産を、本協議書の成立の日から○日以内に妻に引き渡し、又は名義を変更する。目録に記載のない財産については、第○条(後日判明した財産の扱い)による。

理由範囲を目録で限定し、履行の期限を書き、それ以外の財産の扱いを別の条文に委ねることで、包括条項の不明確さを避けられる。

債務を含む整理

よくある書き方財産は妻が取得し、債務は夫が負担する。
整えた書き方別紙の財産目録の財産は妻が取得する。別紙の債務目録の債務は夫が負担し、夫は、その履行について妻に迷惑を及ぼさない。債権者に対する関係は、当事者間の約束とは別であることを確認する。

理由債務の負担者を当事者間で決めても、債権者との関係は別。目録と、債権者との関係についての確認を書く。

また、一方的に不利と思える内容の取り決めでも、当事者の合意として書面にしてしまえば有効、とは限りません。内容が公序良俗に反するときは無効とされます(民法90条)。公正証書にする場合は、公証人は、法令に違反する事項や無効な行為について、公正証書を作成できません(公証人法26条)。双方が納得して決めたことでも、極端に偏った内容は、公証役場で確認や修正を求められる場面があり得ます。

分与の方法と履行の確保:金銭で清算するか、現物を渡すか

財産分与の方法は、大きく三つに分かれます。

分与の方法の三つの型

  1. 金銭で清算する一方が財産を取得する代わりに、他方に清算金(代償金)を支払う。一括払いか分割払いかを決め、支払期日と口座を書く。
  2. 現物を分ける預貯金や株式を、それぞれが取得する。名義変更が必要な財産は、変更の協力義務と期限を書く。
  3. 売却して分ける財産を売却し、売却代金から費用を差し引いて分配する。売却の時期、売却価格の決め方、手続の協力、代金の分配割合を書く。

実際の取り決めは、これらの組み合わせになることが多くあります。

金銭で清算する場合は、養育費と同様に、「金額」「期日」「口座」「遅れたとき」を特定します。分割払いにする場合は、期限の利益の喪失条項や遅延損害金を置くことが一般的です。条項の考え方は、慰謝料・清算条項のページで扱う分割払いの書き方と共通します。

公正証書にする場合に確認しておきたいのは、強制執行を受けることを認める文言(執行認諾文言)が付けられる範囲です。民事執行法22条5号は、公証人が作成した公正証書のうち、金銭の一定の額の支払等を目的とする請求について、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されたものを債務名義とします。財産分与のうち、清算金の支払は、額が特定されていれば、この対象にできます。他方、車の引渡し、不動産の名義変更、特定の財産を移転することそのものは、金銭の一定の額の支払ではないため、この文言を付けても強制執行の対象にはなりません。

条文例第○条(財産分与)

  1. 甲と乙は、別紙財産目録に記載した財産が、婚姻中に夫婦が形成した財産であることを確認し、基準日(○年○月○日)の評価額に基づき、各2分の1の割合で分配することに合意する。
  2. 別紙財産目録の○の財産は甲が、○の財産は乙が取得する。
  3. 前項の取得により、甲が取得する財産の評価額が、乙が取得する財産の評価額を上回る場合、甲は乙に対し、その差額の2分の1に相当する金額を清算金として、○年○月○日限り、乙が指定する口座に振り込む方法で支払う。振込手数料は甲の負担とする。
  4. 甲と乙は、名義の変更その他、取得する財産の移転に必要な手続に協力し、その費用は○が負担する。

条文例は一般的な書き方の例で、割合、期日、基準日などは○と伏せています。割合は2分の1が一般的な出発点ですが、当事者の合意で変えることができます。

清算金の支払が遅れた場合の備えは、養育費が止まったときの備えのページに書いた強制執行の考え方が、金銭の支払としてそのまま参考になります。財産分与の清算金は、確定した額の支払なので、養育費とは違い、期限の利益の喪失条項を置く設計と相性がよい部分です。

請求できる期間と、後から財産が判明したとき

財産分与については、離婚の後にも協議を続けることができます。民法768条2項ただし書の5年は、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できる期間の制限です。協議書に財産分与の条項を置いて合意したときは、合意した内容を履行する義務が生じます。他方、協議書に分与の取り決めがないまま離婚した場合や、合意した内容のほかに財産が見つかった場合は、5年の間であれば、家庭裁判所に請求する道があります。

離婚から財産分与までの時間の流れ(一般的な整理)

  1. 離婚前財産の開示、基準日の決定、目録の作成、分与の方法の協議。協議書または公正証書に反映する。
  2. 離婚後〜5年以内協議が調わないとき、または協議書に取り決めがないとき、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できる(民法768条2項)。協議により合意することも可能。
  3. 離婚から5年を経過家庭裁判所への請求ができなくなる(同項ただし書)。施行日前に離婚した場合の扱いは、附則と所管官庁の資料の原文で確認が必要。

後から財産が見つかった場合に備えて、協議書に「後日判明した財産の扱い」を書いておくことができます。典型的には、財産目録に記載のない財産が判明したときは、双方が誠実に協議して分与する、という書き方です。反対に、「目録に記載のない財産については、一切請求しない」とする清算条項を置くこともあります。どちらを選ぶかは、財産の開示の確かさと、紛争の再発をどこまで避けたいかによって変わります。

書き方の例(一般的な例) 後日判明した財産の扱い

未開示財産

よくある書き方協議書に記載のない財産については、双方とも請求しない。
整えた書き方各当事者は、別紙財産目録に記載した財産のほかに、基準日において自己が有する財産がないことを表明する。表明に反して目録に記載のない財産が判明したときは、その財産について、改めて協議して分与する。

理由請求しないと書くだけでは、一方が財産を隠していた場合に不公平が生じる。財産がないことを表明させ、表明に反した場合の再協議の道を残すと、開示を促す効果がある。

清算条項(互いに債権債務がないことを確認する条項)との関係も、整理しておきます。財産分与の条項を置いたうえで、協議書の最後に「本協議書に定めるもののほか、互いに何らの債権債務がないことを確認する」と書くことが一般的です。この条項があると、財産目録に記載のない財産についての請求も、封じられる読み方になり得ます。後日判明した財産の再協議を残したいなら、清算条項の範囲から除外すると明記し、条項どうしが矛盾しないようにします。この点は、慰謝料・清算条項のページで詳しく扱います。

書面にする前のチェックと、起きがちなこと

財産分与の条項を書面にする前のチェックリスト

  • 対象財産の範囲を、目録方式で特定しているか。「共有財産」とだけ書いていないか。
  • 基準日が決まっているか。財産の種類ごとに基準日を分ける場合は、その理由が分かるか。
  • 預貯金、保険、株式、車などの記載が、他の財産と区別できる程度に特定されているか。
  • 口座番号などの個人情報を、必要以上に本文に載せていないか。
  • 分与の方法(金銭清算、現物、売却)と、清算金の額、期日、口座が書かれているか。
  • 「全財産を渡す」のような包括的な書き方になっていないか。債務の負担者も書かれているか。
  • 公正証書にするなら、強制執行の対象にする条項が、金銭の一定の額の支払に限られているか。
  • 後日判明した財産の扱いと、清算条項の範囲が、矛盾していないか。

財産分与の条項で起きがちなこと

  • 「共有財産を折半」とだけ書いたため、どの口座・保険を含むのか、離婚後に食い違う。
  • 基準日を決めなかったため、別居後に増減した残高の扱いで、清算額が一つに決まらない。
  • 「全財産を渡す」と書いたが、将来取得する財産や債務の扱いが決まっておらず、解釈で争いになる。
  • 車や不動産の名義変更が必要なのに、協力義務や期限を書かず、手続が進まない。
  • 財産目録に口座番号をすべて書き、協議書や公正証書の取扱いに気を使うことになる。
  • 清算条項を広く書きすぎて、後から見つかった財産の再協議の道まで閉ざしてしまう。
  • 離婚後に分与の協議を後回しにし、5年の期間が近づいてから慌てる。

財産分与の条項は、書いた日よりも、数年後に読み返したときに、同じ意味に読めるかどうかが問われます。対象を目録で特定し、基準日と方法を書き、履行の確保と、後日の扱いまで整えておくことで、離婚後の紛争を減らす土台になります。書面にした後に起きることについては、協議書を作った後に起きることのページで整理しています。

よくあるご質問

財産分与の対象になる財産は何ですか?

民法768条3項は、婚姻中に取得し、又は維持した財産を考慮するとしています。預貯金、保険、株式、車などのほか、場合によっては退職金なども含まれます。婚姻前から持っていた財産や、相続・贈与で得た財産は、特有財産(民法762条1項)として、対象から外れるのが一般的な整理です。協議書では、対象を目録で特定して書きます。

財産分与の基準日は、どの時点にすればよいですか?

条文に基準日の定めはなく、協議で決めます。別居した日、あるいは離婚の日を基準とする例が多く見られます。財産の種類ごとに基準日を分けることも可能ですが、その場合は種類ごとに理由とともに書いておくと、食い違いを防げます。

財産分与を請求できる期間はいつまでですか?

家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できるのは、民法768条2項ただし書により、離婚の時から5年を経過するまでです(2026年4月1日施行の改正後の規定。改正前は2年)。ただし、施行日前に離婚した場合に、この期間の制限がどう適用されるかは、改正法の附則と法務省の資料の原文で確認が必要です。

「全財産を渡す」と協議書に書いても問題ありませんか?

範囲、将来取得する財産、債務の扱い、履行の方法が不明確になり、あとで解釈をめぐって争いになりやすい書き方です。別紙の目録で対象を特定し、履行の期限を書き、目録外の財産の扱いは別の条文で定めるほうが、意味が一つに決まります。

財産分与の内容を公正証書にすれば、強制執行できますか?

清算金のように、金銭の一定の額の支払であれば、執行認諾文言を付けることで強制執行の対象にできます(民事執行法22条5号)。一方、車や不動産の引渡し、名義の変更そのものは、金銭の支払ではないため、この文言を付けても強制執行の対象にはなりません。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の協議書への当てはめは、夫婦の事情や子の状況によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の夫婦や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 法務省 / 裁判所 / 日本年金機構

アトラス行政書士法人|毎日5組限定契約書・利用規約の無料チェックお手元の書類の問題点を、行政書士が詳しく指摘します。1書類につき24時間以内に回答・お1人様3種類まで無料チェックの詳細を見る›

ご依頼の前に:対応の内容

詳しい内容を見る

離婚協議書・離婚給付等契約公正証書の作成でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「離婚協議書・公正証書の作り方ガイドを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る