離婚の条件を書面にまとめる方へ決めたことが、
離婚後に動く協議書を
離婚協議書は、離婚届を出す前に「何を決め、何を後回しにするか」を整理して書面にする作業です。養育費は金額だけでなく、いつから・いつまで・誰の口座へ・遅れたらどうするかまで書かないと、実際に動きません。財産分与は財産の特定と基準日、年金分割は請求できる期間と按分割合、面会交流は回数よりも連絡の方法と変更の手順が決め手になります。強制執行を受けることを認める文言を付けた公正証書にできるのは、金銭の支払いに限られます。このガイドでは、2026年4月に施行された家族法の改正(共同親権の導入、養育費の先取特権や法定養育費など)を踏まえ、離婚協議書・離婚給付等契約公正証書の項目ごとの書き方と、書面にした後に起きがちなことを、民法・民事執行法・厚生年金保険法などの条文に沿って整理しています。書面の作り方に絞った解説です。
離婚協議書を初めて作る方

決める項目と順序、決めないことの書き方から
離婚協議書は、夫婦で話し合ってついた条件を、あとから見返せる形に残す書面です。子のこと、お金のこと、氏と戸籍のことを、どの順序で決め、何を後で協議する項目として残すかを最初に整理します。
離婚届を出す日と協議書の日付の関係、署名押印と原本の保管、公正証書にする前提の書き方まで、全体像を押さえておくと、項目ごとの検討が進めやすくなります。
公正証書にするか迷っている方

私文書と公正証書の違いを知ってから選ぶ
協議書を作れば強制執行ができる、というわけではありません。強制執行を受けることを認める文言を付けた公正証書にできるのは、一定額の金銭の支払いに限られます。
どの項目を公正証書に盛り、どの項目を協議書にとどめるか。公証役場での手続と費用の仕組みも含めて、判断の材料を整理します。
子どもの養育費・面会交流を決める方

金額より先に、始期・終期・口座・遅れたときを決める
養育費は、金額のほかに、いつから・いつまで・どの口座へ・増減や進学費用をどうするかを書いておきます。共同親権が選べるようになった今は、親権の定め方と日常の行為の分担も書面の対象です。
面会交流は、回数よりも連絡の方法・場所・変更の手順を書いておくことが、あとで効いてきます。
財産分与・住宅・年金分割を決める方

財産の特定、基準日、住宅ローン、請求できる期間
財産分与は、何を対象にするかと基準日を決め、口座・保険・株式・車などを特定して書きます。住宅は、住み続ける場合と売る場合で書く内容が変わり、ローンの負担と売却代金の充当順序は一つの条文で整理します。
年金分割は、合意分割と3号分割で請求の仕組みが違い、請求できる期間も決まっています。協議書には、その請求の取り決めを書きます。
慰謝料・清算条項で迷っている方

分割払い、違約金、そして「これで全部終わり」の範囲
慰謝料や解決金の分割払いは、期限の利益の喪失、遅延損害金、口座の変更を書いておきます。違反したときの金額は、刑罰用語ではなく、違約金(賠償額の予定)として書きます。
清算条項は、何を含めて何を含めないかを書かないと、後から請求できる範囲が分からなくなります。
協議書を作った後のことが気になる方

支払いが止まったとき、事情が変わったとき
決めたとおりに進まないとき、書面があると何ができるかは、公正証書かどうかで変わります。事情が変わって見直したいときは、まず協議、まとまらなければ家庭裁判所の調停という順に進みます。
協議書の一部が無効になる場面や、署名後に気が変わったときの扱いも、一般的な整理をしておきます。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
離婚協議書を作れば、相手が払わないときに強制執行できますか?
できません。私文書の協議書だけでは、そのまま強制執行を始められません。公証人が作成した公正証書に、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されていれば、一定の額の金銭の支払いを目的とする請求について強制執行ができます(民事執行法22条5号)。物の引渡しや面会交流そのものには、この文言は使えません。
養育費の取り決めをしないで協議離婚をすると、どうなりますか?
民法766条の3に、子の監護に要する費用の分担の定めなく協議離婚した場合、子を主に監護する人が他方に対し、離婚の日から一定の日まで毎月末、法務省令で算定した額の支払いを請求できる仕組み(法定養育費)が設けられました。支払能力を欠く場合などは拒める定めもあり、額や要件の詳細は条文と所管官庁の資料で確認が必要です。通常は、金額・始期・終期・口座まで協議書に書いておく方が確実です。
離婚届と協議書は、どちらを先にしますか?
決まった順序はありませんが、未成年の子がいる場合、離婚届には親権者を記載する必要があります(民法765条、戸籍法76条)。協議書の日付と離婚届の提出日の関係は、離婚の効力がいつ生じるかと合わせて、協議書の中に書き分けておくと分かりやすくなります。
財産分与や年金分割には、請求できる期間がありますか?
あります。財産分与は、協議が調わないときの家庭裁判所への請求が離婚の時から5年です(民法768条2項ただし書)。年金分割(合意分割)も、離婚等をしたときから5年を経過したときなどは請求できません(厚生年金保険法78条の2第1項ただし書)。協議書に取り決めを書くときは、これらの期間を確かめます。
共同親権を選ぶ場合、協議書には何を書けばよいですか?
協議離婚の際には、父母の協議で双方または一方を親権者と定めます(民法819条1項)。双方を親権者とした場合でも、日常の行為や急迫の事情があるときは、親権を単独で行うことができます(同法824条の2)。協議書には、親権の定めに加えて、居所や重要な事項の決め方、連絡の方法を書いておくことが考えられます。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日